逆浸透膜浄水器とは?reverse osmosis purification system
逆浸透膜浄水器の歴史
逆浸透膜(RO)は1950年からアメリカ内務省が将来の水不足解消の為、海水から飲料水を確保する事を目的とし、多額の国家予算(最初の5年間で250万ドル、当の為替レートで約9億円と言われる)を計上し開発された浄水器のフィルターです。
70年代に入ると、海上での飲料水確保のためにイギリスの豪華船・クィーンエリザベス2世号に採用され、その後、漁船や客船、原子力潜水軍艦にいたるまで、ほとんどの船舶に逆浸透膜の造水装置が積み込まれるようになります。それと同時に家庭用の浄水器としても使われ始めていきます。そして1981年にはNASAスペースシャトルコロンビア号でもシャトル内の排水、尿までも純粋にしてリサイクルして飲料することが実験的に行われました。
現在では確実な除去性能が検証され、全世界80ヶ国以上でで利用されています。特にアメリカにおける一般家庭、企業や店舗などに設置普及率は70%以上、韓国では50%に上ると言われています
日本では、スーパーマーケットの店頭への設置(ピュアウォーター又は純水として表示)、今流行のウォーターサーバーの宅配水(事業所や病院、幼稚園、一般家庭等)、清涼飲料水の原水、ボトルウォーター、市販の赤ちゃんの水等、様々な場面で活躍しています。
逆浸透膜浄水器の原理としくみ
逆浸透RO(Reverse Osmosis)の技術とは、ろ過膜の一種でイオンや塩類など水以外の不純物は透過しない性質を持つ膜のことです。逆浸透膜に圧力をかけて、ウイルスよりはるかに小さい0.0001ミクロンの細孔によって、水を分子レベルまで浄水します。水分子だけを通過させ、不純物は浄水器の外へ排出します。
動物や植物の細胞膜は半透膜と呼ばれ、水分子だけを通過させ、他の溶解物は通しません。逆浸透の原理は私たちを含めた生物が半透膜によって水分や栄養を体内に吸収する仕組みを応用して造られています。
浸透圧
逆浸透膜(半透膜)で塩類濃度の高い水(食塩水)と低い水(真水)を仕切ると、その浸透圧の差によって濃度の高い水を薄くしようと水分子が濃度の低い水の方へ移動します。この、濃度を同一にしようとする力を浸透圧と言います。
逆浸透
逆に濃度の高い水に外から浸透圧の差を超える圧力をかければ、水分子だけが濃度の高い側の水から低い側の水の方へ移動します。この現象を逆浸透といい「逆浸透膜」の名はここから来ています。
大きな圧力をかけて「逆浸透」を起こさせ、汚れた水を濾過(ろ過)して綺麗するということです。 ..
わかりやすく言えば、漬物をつけるときに、野菜から水分が抜けてしんなりします。これは、野菜の細胞内の水分(濃度の低い方)が、半透膜を通過して塩や糠(濃度の高い方)に向かって浸透し、外に出ていきます。この自然の力(圧力)を浸透圧といいます。浸透圧では塩分の薄い方から濃い方へ水が移動しますが、逆浸透は圧力をかけてこの逆に水を移動させるのです。
逆浸透膜の分離が単純な物理的阻止だけでは説明できない為に、原理について複雑な解説がなされることが多いですが、要は「水と不純物とを分離するために浸透圧以上の圧力をかける必要があるので逆浸透膜と呼ぶ」というように理解すればよいでしょう。
ウイルスで現在最も小さいとされるピコルナウイルスやパルボウイルスでも大きさは約20ナノメートルであり、逆浸透膜の孔より確実に一桁は大きいため、逆浸透膜は破損がない限り水から全ての病原菌やウイルスを除去できるものと考えられます。